まだ自動車は一日に数台しか通ることは無かった。よしとが3歳
くらいの時県道を一人で横断しかけた、ちょうどその時バスが通
りかかった。
バスの運転手はよしとを避けるため急停車し、若くて美人のバス
ガイドがよしとを自宅まで、抱いていったそうだ。
それから県道を渡る時、よしとの母はいつもよしとの手を握り
「右見て左見て渡るのよ」と言って聞かせた。
県道から川まで50mくらいだが、5歳のよしとにはかなり遠く
に感じた。
父は仕事に出かけ、兄と姉は小学校に行っている為、よしとは母
が洗濯にいっている間一人で家にいるのがすごく怖かった。だか
らいつも母親と一緒に川へ洗濯に行った。そして、手ぬぐいを1
枚洗うくらいのお手伝いをするとすぐに飽きてしまい母親に
「早く帰ろう!早く帰ろう!」
と駄々をこねるのだった。
そしてその時母親のおなかは大きかった。